幸せの形

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チャイムの音に一斉に生徒たちが教室の出入口へと駆けてゆく。これから部活へと移動する人や友達と放課後どこへ寄ろうか楽しそうに話す人々。さっきまで響いてた声は次第に遠くなり、教室には自分とあの子しかいない。

HR中、眠そうに欠伸をしてたあの子は今や席に突っ伏して夢の中へと旅立っている。窓際に座るあの子の髪を風が撫でていった。桜色の愛い髪を愛でるように。

君は誰にでも愛される人だけど、風さえも君を愛しく思うようだなんて思いながら。

どうせ起きないしと近くまで寄ってみる。
まろい頬に薄紅色の唇、すぅすぅと気持ちよさそうな寝息に思わずシャッターを押してしまった。

だって可愛いんだから、仕方ない。

君の事が愛しくて可愛くて仕方ないんだ。
どうか早く目を覚ましておくれ。
その蜂蜜を溶かしたような大きくて甘い瞳で僕を見て。

君がみてる夢よりももっと楽しいところに連れて行ってあげるから。

今日は君の誕生日なんだから、一緒に出かけるんでしょう?サプライズだって用意してあるしプレゼントだってあるんだよ。

そう思ってまだ微睡んでる君の指にきらりと輝くそれをつける。未来への約束としては今はこんなものしか用意できないけど。
でも今は予約だけでもいいからさ。
どんどん綺麗になってく君を1番傍で見ていたいんだ。
君の今も未来も全部独り占めさせて。

起きた時、君はその指についてるものを見てどんな反応をするかな?
その遠くない未来を想像しながら微笑んだ。


────目を覚まして、夢の続きを見せてあげるから。
──────僕の愛しのマイレディ。




10/12/2023, 6:03:31 PM