【永遠の花束】
君と小指を絡ませたのは、僕が5歳のときだった。
パーティーが行われている中、君は会場を抜け出して裏庭に駆けてきた。身分の違いで入れなかった僕のもとに来てくれたのだ。
「これ、あげるわ」
桃色の豪華なドレス姿で、君は花束を差し出した。
「もらっていいの?」
「これは、永遠の花束なの。私達、絶対に結ばれる運命だと思うの。約束しましょう」
草木に囲まれて、僕達は静かな契りを交わした。
あれから15年。
僕は昨日、20歳になった。母親がいつもより豪華な食事を振る舞ってくれて、父親は感極まり涙していた。小さなパーティーだったけれど、大いに盛り上がった。
そして今日、王室で20歳を迎える人がいる。栗色の髪は大分短くなり、純白の大人っぽいドレスを身にまとっているはずだ。
僕は一張羅を着て、鏡の前に立っている。
式典は11時から、パーティーは12時から行われる。今度こそ、中に入れてもらえるだろうか。
もし無理だったとしても、また裏庭で待っていよう。
すっかり乾燥したそれを抱えて、僕は約束を果たしに飛び出した。
fin
2/4/2025, 11:15:28 AM