粟屋佑希

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「ねぇ、楽園って知ってる?」

ーある日そんな言葉をいきなり君から投げかけられて、僕は少しの間固まってしまった。
そんな僕の様子を気にもせず、君は話を続けていく。正直ほとんど内容が頭に入ってこなかったが、辛うじて一つの言葉だけが聞き取れた。
「楽園に行けたなら、私幸せになれるのかな。」

僕らはなるべく触れないように過ごしてきたんだ。2人の間に暗黙の了解のような、腫れ物を扱うかのような静寂が流れる。
最後に聞こえたのは、重く苦しい君の本心だったのだろうか。

ーねぇ、君は今楽園で過ごせていますか?

5/1/2023, 2:30:33 PM