狼星

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テーマ:逆さま #24

※この物語は#20からの続編です

「魔法使いが、悪役とされる国」
彼女が暗い路地の階段に腰掛けながら言った。僕は彼女の隣に座る。
相変わらず黒いローブを深く被っていて顔は見えなかった。が、きっと暗い表情をしているのだろう。
何となく、僕は彼女から視線を外す。
「以前までは魔法使いは、今とは全く逆さまの立場。
みんなと一緒に暮らして、新たな国の発展にも貢献するような人材だった」
そう言う彼女は少し明るいトーンで話した。
「でも、普通の人間と魔法使いとでは能力が違った。そこで差別されたりすることもあって……」
彼女は言葉をつまらせた。彼女にもそういう過去があったのだろう。
「魔法使いが悪役とされる国になった経緯に、魔法使いが全て悪かったんじゃないと私は思うの」
彼女はそう呟いてから、すぐに
「あ、だからって10割悪くないっていうのもそうじゃなくて……。8割くらいは魔法使いのわたしたちが悪いし?」
苦笑いした彼女は明らかに自分に嘘をついている気がした。
彼女の逆さまの意見、違う言い方をすれば本心と真逆の意見を言っている。
そんな感じが僕の中にもやもやとしていた。

12/6/2022, 1:29:47 PM