雪月栞

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「あの森の奥には行ってはダメよ、魔女がいるの」

ずっとそう言われて育った

でも、道に迷って森の奥に行ってしまった時

出会ったあの子はとても優しくて、心の綺麗な子

私たちはすぐに仲良くなった

こっそり森に遊びに行った

私はあの子が大好きだった


隣町で、病が流行った

見たこともない症状で、たくさんの人が倒れた

隣町に行ってはダメだって決まりができた

でも、どうしても隣町に売ってる髪飾りが欲しくて

私は誰にも告げず、こっそり隣町に出かけた

数日後、町で例の病が流行った

「誰かが隣町に行ったんだ」

「いったい誰がそんな事を」

怖くて、言い出せなかった

「──あの魔女に違いない」

「そうだ、あの忌まわしい魔女の仕業だ」

そんなはずはない、だって行ったのは私なのだ

けれど怖くて、違うと言い出せなくて

あの子は、火刑に処されることになった

待って、待って!違うの!

私のせいだ、私のせいで!

処刑の日、あの子はとても怯えていたけれど

最期、涙を流しながら、とても優しく微笑んだ

あの子はやっぱり魔女なんかじゃなかった

誰よりも優しくて、美しい心を持った

普通の、女の子だった

だから、また会おうね

きっとまた、巡り会えるから

そしたらまた、一緒に遊ぼう


『巡り会えたら』

10/3/2022, 12:34:11 PM