「極楽世界」
とある田舎町の田園地帯。
今は畑になっているが、50年程前には高校が存在した。
その高校は、50年前の文化祭の前日を境に
忽然と存在ごと姿を消した。
歴史の資料にはその高校の文献が存在するけど、
高校の建物、教師、生徒が
丸ごと消えてしまったのである。
当時は神隠しに遭ったのではと囁かれていたが、
時間が経つに連れ、人々から高校の記憶は消えて行った。
時空から隔離された高校の関係者は、
時が止まったかのように老いる事も成長する事も無く、
50年前の文化祭の前日を延々と繰り返していた。
高校は、神隠しに遭ったすぐは普通の高校だったが、
異空間で長い年月を過ごす内に
人間達は超能力を身に付けたり、妖怪になったり、
妖精になったり、精霊になったり、付喪神になったり…
と、アニメやゲームなどの創作物の住人の姿になったり、
本物の宇宙人や時空を旅する過去や未来の人間が
高校に紛れ込んだりと
気がおかしくなる様な現象が起きて、
もはや、そこだけ異世界なのではと思う世界となった。
一方、現代では、
地理の発表の課題で
図書館の文献を調べていた高校生達は、
消えた高校の存在を知って、
消えた高校があった場所へ向かった。
見た目はただの畑で、高校があったとは到底思えない。
ただ、文献にバツ印が付いてた場所には
時空の歪みがあった。
高校生達は興味本位で時空の歪みに入り、
50年前に消えた高校の中に入って行った。
11/11/2021, 8:52:02 AM