でこポン

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「澄んだ瞳」

去年の夏の終わりのことです。
お祭りで2コ上の先輩に中学時代ぶりに会えて、お話させていただきました。
もう憧れの先輩で、綺麗で聡明で、部活のこと、丁寧に教えてくれた恩もあるし、本当に完璧な人なんです。
会話のはじめの方は緊張もあって目も合わせられないでいたんですけど、勇気をだして目線を向けてみようとしてちらって目を向けたんです。
偶然にもそのときちょうど先輩もこちらに視線を向けてくれていて、ぱっと目が合いました。
その刹那、時計の針が止まりました。このときばかりは喩えが、本当でした。
一拍間を置いてすぐに胸の鼓動が激しくなりました。それは立っていることすら苦しいほどに心を熱くさせました。お酒を知らないわたしですが、酩酊とはきっとこのことを言い表すのだと思います。
中学時代よりも大人びていて、でも子供のように朗らかに笑う先輩。不意をつかれました。
その瞳の綺麗なことは、わたしの未熟な語彙では言い表しようがないです。もはや銀河でした。映された情景のそのひとつにわたしの姿があることが何より嬉しい。
あの立姿あの笑顔あの声色。わたしの心を、もう移ろいかけている夏の季節の中に閉じ込めてしまうほどにそれは叙情的でありました。
お祭りの雰囲気も相まって、どこか刺激的で、その場へ心身ともに溶けてしまいそうでした。いや、もう半分くらいは溶けていました。陶酔しきっていました。
きっと先輩への感情は憧憬だとか恋情だとかはっきり言いきれるものではなくて、だからこそこうも惹かれてしまうのかもしれません。
先輩は今年から東京の大学生になりました。でも、お祭りのときには戻ってきてくれるそうです。
また会えると思うと、それだけで毎日が嬉しいです。

7/30/2023, 2:15:20 PM