りゃん

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私と本の出会いは『おおきな おおきな おいも』だった。幼稚園で毎月キンダーブックを読み、小学校では時間があれば図書館に行き、なけなしのお小遣いは月刊誌のマンガを買っていた。
委員会は図書委員だったし卒業文集の将来の夢には
小学生らしく『小説家』などと書いてあった。
小学校3年生の時に推理小説作家の○○先生と出会った。夢中で読んだ。つぎ込めるお小遣いは全部先生の本に消えていった。
大人になる頃にはなんだかんだ言い訳して普通のOLになった。だけどストレス発散と言えば本屋にいって本のインクの匂いを嗅ぎながら新刊のチェックすることや気になったタイトルのジャケ買いする事だった。○○先生は執筆ペースが早くて月に4,5冊刊行していた。大人になってジャンルの好みが出てきたとはいえ○○先生の本は必ず買い求めた。
いつ頃だろうかレンタル本サービスが出来、古本屋が出来、町の本屋が潰れていくようになった。
結婚して子どもができ、ひょんなことから学校司書の仕事をするようになった。
久しぶりに本に囲まれた生活、インクの匂い。
心が落ち着く。新刊の児童書のチェックや本の修理
蔵書点検やはり本が好きなんだなと思った。
小説家になりたいなどと夢物語でほざいていたのは
気恥ずかしいが巡り巡って学校司書をするとは夢にも思わず、本に関われた職につけたのは嬉しかった。私の青春は○○先生で出来ているといっても過言ではない。『特別な存在』小説家という職業。
食えるような作家は一握り、更に言えばネット社会になり紙の本の需要が少なくなる中厳しい戦いを強いられる。本を読めば本の世界に没頭し私の中の熱が溢れ出す。何があっても本を読めば生きていける。


『特別な存在』

3/23/2023, 1:31:47 PM