声が聞こえる
俺はもうすぐ死ぬ。
ほとんど治りかけていた病が再発した。
もう助かる方法はないらしい。
そんな気はしていた。
だんだん出来ることが限られていって、
体も動かなくなっていたから。
両親が病室に人を呼んでくれた。
祖父母、友達、部活の仲間。
みんな今までありがとう。
感謝を伝えたいけど、
俺の口はとうに動かなくなってしまっているから、
みんなの声を、聞くだけ。
うん、うん、聞こえてるよ。
あ〜そんなこともあったなぁ。
もうそのこと怒ってないよ。
ちゃんと聞こえてるよ、大丈夫。
俺はみんなより先にあっちに行くけど、
みんなは長生きしろよ。俺の分まで。
意識が薄れていく。
あーここまでか。
もっと色々したかったなぁ。
でも、俺のことを想ってくれてる人に囲まれて逝けるなんて、俺は幸せ者だ。
聞き慣れた声。懐かしい声。
の、中に混じる知らない声。
誰だ?看護師?いや違う。
なにか、言ってる?
なんて言ってる、、聞き取れない。
ダメだ意識が薄れていく。
お前は誰なんだ。
誰か分からない。
ただ、声が聞こえる。
9/23/2024, 2:12:49 PM