Omothi

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夜に呑まれるような、そんな感覚になることがある。
底無しの暗がりに手を引かれるような。

考えたところで仕方のないことが頭の中をぐるぐると駆け巡り、自分の周りを取り囲む静寂という空間に、己の「生」がばたばたと零れて泳ぎ出す。

何も居ない、音の無い空間だが……非常に騒がしくて五月蝿いのだ。
深く深く沈んだ先では、馬鹿みたいに愚かな自分や膝を折り畳み小さくなっている自分と出逢うこともある。
そのどれもに思考を向けるなんてことは到底できやしない。
其処に在る全てに手を差し伸べるなんてできない。

瞼は閉じているはずなのだが、どうも脳はこの世界を捉えているらしい。
嗚呼、何とも厄介なものだ。
そう、


〝眠れないほど〟に。

12/5/2023, 10:14:37 AM