君の奏でる音楽初めて聞いたあの日から、その音が好きだった。流れるように美しい音色が色を持つようにホールに響き渡ったとき、誰もが息を潜めた。繊細な動きでヴァイオリンが鳴くと空気が変わる。この瞬間が、自分は好きだ。その音にずっと焦がれていた。焦がれて、焦がれ続けた。だが手を伸ばしても決して自分には掴めない遠い音色。それが、彼女の奏でるヴァイオリンの音だ。
8/12/2024, 3:48:11 PM