七緒

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祖母が私を忘れて。

共働きの親に代わって
いつも一緒にいてくれた祖母。

ショックで、悲しくて、混乱して、
帰り道、溢れる涙を止められなかった。
私を忘れちゃうなんて。
それまで毎日仕事帰りに寄っていた病院にも
怖くて行けなくなった。

でも、しばらくして少し落ち着くと
やっぱり会いたくなって恐る恐る病院へ。

すると祖母は私を友達と思い込んでいた。
その時なんだか吹っ切れて。
祖母が穏やかな目で見るから。

それからは一緒に折り紙したり、お喋りしたり、
平穏な日々。
私のこと忘れてても、友達と思ってくれて
楽しく過ごしてくれてるならいいや。
悲しい顔なんて見せないでいよう。
笑っていたかった。

ある日いつものように病室で折り紙しながら
お天気の話をしてたら祖母が私の目をみて
「ななちゃん、ありがとう」って不意に言った。

あまりに唐突で予想してなかったから
溢れ出す涙を止めることが出来ず
わんわん泣いて。
泣かないって決めてたのに。

それからすぐに祖母は旅立っていった。

心にぽっかり穴が空いてしまったけれど
私のこと 一瞬でも思い出してくれた。
あの日の奇跡みたいなこと忘れない。

ありがとう、おばあちゃん。
大好きだよ。



~喪失感~

9/10/2023, 1:31:47 PM