104【愛情】2022.11.28
数年前の「チコちゃんに叱られる」で、鳥が卵やヒナを育てる行動について、番組ディレクターが「これって愛ですよね!」と、主張するのに対し、学者がことごとく「愛ではありません」と却下した回があった……のを思い出した。
親が我が子を育てるために、場合によっては身命を賭した自己犠牲的な行動をとる、その理不尽さを合理的に説明できなくて、とりあえず、なんらかの情念がその行動の原動力になっているんじゃないか、などという想像から考案したのが、「愛情」の起源の実際のところなのかもしれない。
だとしたら、「愛情」とは神話のような架空のもので、神様による天地創造の物語がダーウィンの進化論やビッグバンにとってかわられていささか古びてしまったように、「愛情」もいずれは生物学的に説明されて、それが一般常識となり、その果に、愛が特権的に纏ってきた薔薇の如き光彩も褪せてしまう、という未来が待っているのかもしれない。
その後の未来人が抱いている「愛情」の像って、どんなふうなものになってるんだろうね。どうせSFを書くなら、「愛情」の概念が科学によって改訂されたあとの世界、とかって書いてみたいよなぁ。
11/27/2022, 7:37:47 PM