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昨日のお題と。
(あじさい・好き嫌い どちらも以前に投稿した梅雨というお題に関連させました。梅雨は再投稿です。)



いくつかの出来事が重なったのがキッカケだったのかもしれない
それらのどれかが欠けてては、僕はそうしなかったかもしれない

その日は雨が強く降っていて頭痛がいつもより酷かったこと
その日は持ち歩いてる頭痛薬を切らしてたこと
その日は勇気を出して告白しようかと思っていた女性に交際相手が居て、しかも婚約まで決まっていたこと
その日は帰宅途中コンビニに寄った時、雨が止んだ為に傘を忘れてしまったこと
その結果、再度降り出した雨に打たれるはめになったこと

それらの出来事があったからかもしれない
帰宅途中ふと紫陽花の茎が一つ深く傷付いているのを見かけた
もしかしたら子どもの力くらいでも、触れたら折れてしまうのではないかと思う程に
無意識にポケットの中にあった妹から貰った絆創膏へと手を伸ばして、そのまま傷付いた紫陽花の茎へと巻いた

こんなこと気休めにしかならないだろうけど、
それでもこれ以上僕自身も僕以外の誰かが傷付くのも嫌だったから

たとえ気休めにしかならなくても、微々たるものだとしても
この雨の続く鬱々する気分を忘れさせる程に、
どうか一秒でも長く凛と咲き誇っていて


『あじさい』#19




私は雨が嫌いだ。なるべく身軽でいたいからだ。
なのに雨の日だと傘という持つ動作と荷物が増えることになる。
まぁ幸い、兄のような頭痛持ちということではないだけラッキーなのかもしれないけど。

それに雨の日は化粧も髪も崩れちゃう。
傘さしてても荷物も濡れるし服や体も濡れるし、雨の日に良いことなんて何もないって思ってた。
でもこの通りの角を曲がった場所には、
この時季とても綺麗な紫陽花が沢山咲いていることを最近知った。

家に帰るには少し遠回りだけど、
この雨の鬱々した気分を忘れさせてくれるような凜と咲き誇る姿が綺麗で、
私は雨の日も悪くないと、そう思った。


『好き嫌い』#18



以下以前に投稿した『梅雨』#7


・短めver.・

この季節になると僕はいつも
紫陽花がよく似合う貴女を思い出す



・長めver.・

雨がしとしと降っている。
この時季、雨が続くのは仕方ないとはいえ毎日毎日雨ばかりだと気分は少し憂鬱になってくる。
そんな憂鬱気分で帰路につく途中、傘も差さず空を見上げながら雨に濡れる一人の女性を目にし、思わず僕は
「風邪ひきますよ」
そう声をかけて差していた傘を女性に差し出した。

女性は一瞬驚いた表情を見せたがすぐに穏やかな笑顔へと変わり、そして空へと視線を移す。
「私、雨が好きなの」
「そうですか……僕は雨苦手です。今も少し頭が痛くて」
そう言いながら僕もまた視線を空へと向ける。
降り止む気配のない雨に気分は下がる一方だ。

「それは大変ね」
「いえ、いつもの事なので」
「じゃあ……今度は私が」
ありがとう、そう笑った彼女の頬には見慣れた絆創膏。
確かあれは数日前に妹から貰った絆創膏と同じ柄だ。あれ?僕はその絆創膏をどうしたんだっけ?
思考をグルグルと巡らせていると女性に抱きつかれ、驚きに僕の頭は真っ白になり、
何も考えられなくなって力の抜けた手からは傘が離れ、地面へと落ちていった。

「もう一度貴方に会えて良かった」
本当にありがとう。そう言ったのが最後だった。
気付けば彼女の姿はなく、いつしか雨は止み、雲の隙間から日差しが見えている。
そして彼女の居た背後には雨に濡れた色とりどりの紫陽花が咲き誇っておりその中で一つ、見慣れた絆創膏が巻かれていたのだった……


嗚呼、そうか。
僕はその絆創膏を貴女の為に、

6/14/2023, 9:59:29 AM