色とりどり、と言われると何を思い出すか。
空にかかる虹もいい、外国のポップなお菓子もいい。シャボン玉の綺麗な色とりどりもいいかもしれない。
が、今書いてて思いついたのが【ボールプールの色とりどり】だった。
小さい頃に連れて行ってもらったことのあるボールプールは非常に多い。一度しか行かなかった所もあるし、記憶に残るほど行った場所もある。
私としてはとある子供向けのテーマパークの、更に子供向けのボールプールを思い出す。ここには私は入ったことがないのにも関わらず。
そこは施設の設定上少し暗めの照明で、子供の私を無条件にわくわくさせた。夜にお出掛けしている気分にでもなっていたのだろう。普段許されないことが許されるのは面白いものだ。
私はアトラクションを終え、母と弟と合流するためにその場所へ赴いた。何回も来ていた施設ではあったが、さすがにマップ全てを頭に入れているというわけではなく、少々迷いながらも辿り着いた。小心者だった私は照明の暗さや人混みに恐れを覚えながらも、約束した場所に辿り着いたので落ち着いた心地になったを覚えている。通路の右側にあり、そちらを向かないと中の様子は見えないような構造だった。
タッ、と走っていた足を止め中を見る。中はさらに暗く、本当に人の顔が認識しにくい部屋だったと思う。弟がボールプールの中にいて、母が淵に座っていた。なんの変哲もなかった。
しかし、私は恐れのような物を抱いたのだ。今から考えると顔が見えにくかったことに対する不安だったのだろうが、スン、と寒気を纏うような怖さを感じたのはあれが恐らく初めてだったのだろう。
何も間違ってなかった。指定された場所はそこだし、会う家族はそこにいた。なんだかとても良い経験をしている、と感じたことは覚えている。
暗い照明に照らされた、原色を散らしたボールプール。
最近流行りのbackroomの様な感じなのだろうか。
沈むようなボールプール。
1/8/2023, 2:34:25 PM