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「例えばこの世界で私とゆいちゃんの2人だけだったとするじゃん」
「ほう」
…なんかものすごい世界観の話が始まったな。
「その時ゆいちゃんはさ、私と一緒で嬉しい?それとも、2人しかいなくて悲しい?」
「…初めは多分、親とか好きな人がいなくて悲しいけど、瑠璃がいるなら、まあいっかってなると思う」
「そっか!」
「えぇ、何。怖いんだけど」
瑠璃は満面の笑みを浮かべるだけで、それ以上何も言わなかった。まるでもう自分のことは必要ではないかのように。

ー翌日。

「…は?」
いなかった。瑠璃が、いなかった。ただ一人、ぽつんと私だけがこの世界に取り残された。
「瑠璃っ」
探し回るしかなかった。昨日の最後に見た瑠璃の嬉しそうな顔を忘れられない。もう一度、会いたい。たった一人の私の大親友に。会いたい。

「…え?」
坂本瑠璃之墓
瑠璃を、探して走り回っている時目に飛び込んできたお墓の文字。ありえない、きっと同姓同名の…。いや…待て。記憶がなだれ込んでくる。忘れていた記憶が。思い出したくなくて、認めたくなくて記憶の隅の隅に追いやっていた記憶が。
「…っじゃあ、昨日までいた瑠璃は?まさか、幽霊??」
(ゆいちゃんが、私がいたらいいって言ってくれたから。私の目を見て、言ってくれたから。)
「ぁ…」
私は、親友が死んだことを受け入れられなくてずっと架空の瑠璃と話していたんだ。だから、私は、私たちは。今までずっと、二人ぼっちだっんだ。

#二人ぼっち

3/21/2023, 11:35:01 AM