ぺんぎん

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酔いはとっくに醒めた筈なのに、くらくらとした身体の気だるさをまだ感じる。 
ベッドの上でゆっくり圧縮されていくような僅かな不快感と頭痛を紛らわそうとベランダへと足を運ぶ。
明け方。藍色の空が薄紅に飲み込まれていく。鮮やかで毒々しいカクテル色。
うっすら白い息のベールが視界に纏う。紺色の苦い風が吹き抜けると、なぜか身体ごと透かされているような心地だった。そうやってまた、透明になっていた。
藍の空はもうじき薄紅に侵食されていく。
甘くほろ苦いアルコールの味が、鼻を掠めた。

私はまた酒に喰われ、酔いしれているのだ。

3/14/2022, 10:37:34 AM