御伽ソツキ

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「さあ、みんな勉強するわよ!」
「えー、やだ〜」
「マイケル!そんな事言わないの。勉強だって、かっこいい男の人になる第一歩なのよ!」
(そうなのか…ふむふむ)
「ピーターパンがとっても真剣だー!ウェンディのこと大好きなんだね!」
「お、おい黙れよ!そんなことねえし…。」

「…」

「ティンクが黙っちゃった。きっと嫉妬してるんだ!」
「黙んなさいよ!あんた!」

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ウェンディはとても優しい子よ。いい子なの。
だから、ピーターパンが好きなのはあの子。
そう決まってる。
私も片思いしていたっていうのに…。
結局言葉にしないと何も伝わらないのね。
橙色と黄色に染る、誰もいない教室。

ーーガラガラッ

誰か入ってきたわ。
森の絵描きね、またモリビトに追い出されたのかしら。

「やっほー、ティンク。また追い出されちゃったよ。それにしても、今日も美しいなぁ君は。」
「本当に女の子を褒めるのが上手なのね、お馬鹿さん。」
「失恋中かい?君に涙は似合わないよ。…そうだ、今日も僕のモデルになってくれ!また美しい絵が描けるよ。」
「えぇ、わかったわ。ありがとう…。」

この人を見てると、ウェンディがいなかった頃のピーターパンを思い出すわ。
もう、忘れなくちゃならないのね。
失恋も、ピーターパンのことも。

9/6/2025, 12:50:33 PM