柳絮

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いつまでも捨てられないもの


「ねえ、あれ何?」
「……ああ、あれ」
一人暮らしを始めた友人の、落ち着いておしゃれな部屋。洗練されたインテリアに合わないくたびれたぬいぐるみが気になって訊くと、彼女は肩をすくめた。
「思い出の品ってやつ?」
「残念ながら、現役バリバリよ」
どういう意味だろう? 首を傾げると、彼女はため息をついた。
「捨てても戻ってきちゃうのよ」
「え」
「除霊が成功すれば戻らないの。修行あるのみだわ」
いやそんなダンベルみたいな。



誇らしさ


『優勝だー!!!』
歓喜に沸く観客たち。抱き合って喜ぶ選手たち。実況と解説の興奮した声で試合が振り返られ、その間にも飛び跳ねて健闘を讃えあう姿が映る。
チームメイトと肩を叩き合い泣き笑いを見せる息子の姿に、目頭が熱くなった。
身体の弱い子だった。鍛えるために運動を始めても、不器用で要領が悪くて、それでも楽しいと笑う子だった。
「こんなに大きくなって」
世界中から称えられる貴方が笑うのが、私は何より誇らしい。

8/21/2023, 7:56:54 AM