「大丈夫?」
そう言ってきみはいつも私に手を差し伸べてくれる。いつだって私に優しくて、私にとって太陽みたいな人だった。
ある時、知り合いの男が私に言った。
「あいつは危険なやつだ、今すぐにでも縁を切った方がいい」
「そんなわけない!」
「おまえは知らないかもしれないが、あいつは、」
聞きたくないと私は言った。私のただ一人の友人を悪く言う言葉なんて、聞きたくなかった。
しばらくして、私に忠告してきたその男が事故に巻き込まれて死んだと聞いた。
それから、私の周囲では不幸が続いた。偶然だろうが、身近な不幸が重なったことで私はだいぶ参っていた。
眠れない日が続いたある日。その日は私の父の葬儀の日だった。
父もまた、私の身近な不幸のひとつで、通り魔にあって命を落とした。
照りつける強い日射しの中、父の棺を見送りながら、私は気が遠くなりその場に倒れた。
「大丈夫?」
倒れた私に手を差し伸べるきみ。
きみは眩しい太陽を背にしていたから、私にはきみの表情が見えなかった。
【逆光】光は時に闇を隠す
1/24/2023, 3:52:10 PM