《仲間》
その言葉が、嫌いだった。
自分はいつだって、その輪に入れないから。
生まれが違う。育ちが違う。価値観が違う。
前提となる何もかもが違う。
そういう相手を排斥しないといられない人間がいるなら、そこに自分の居場所なんてないから。
でも、気付けば自分が、その側に立っている。
ここまで何とか蓋をして、笑って誤魔化すために仮面で全部を押し込めて。
そうして築いたちっぽけな足場が崩されないように、しがみついている。
だから、自分の立っている場所を壊しかねない誰かを強い言葉で排除しようとしてしまう。
その醜悪さが嫌いだったはずなのに。
いつしか自分は、誰からも《仲間》に入れてもらえない側になる。
一度でも手にしてしまった陽だまりを手放すのが怖いなんて、だから何をしても許されるなんて。
そんなこと、自分が思うわけもなかったのに。
そう信じたかっただけなんだ。
誰か。
《仲間》だと言ってくれるなら。
こんな醜い自分の息の根を。
どうか、止めてくれ。
12/11/2023, 9:12:21 AM