いけい律歌

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お祭り

お祭りの雰囲気が好き。お祭りといえば、夏祭り。

いつもと違う景色、その場にいる人もいつもと違う装い。
(服装に関しては街でよく見るような服装の人もいるが)

道の両隣には多種多様な屋台。
屋台のテントの中には、売り物や様々な器具がたくさんあり、タオルを頭に巻いて汗だくになりながら調理をする人、会計や呼び子をする人、椅子に座って外を眺める人。

道にはたくさんの人々がごった返す。

浴衣も着れないくらい小さい子どもを連れた家族。小さくて折れそうな指にはヨーヨーがぶら下がっている。子どもがねだったのであろう、キャラクターのお面や子どもと同じくらいの大きさのキャラクターの袋に入ったわたあめ、くじ引きのおもちゃは、子どもがいる方と逆側の両親の手に。お面やおもちゃはこの日以降、何なら家に帰った瞬間からガラクタになってしまうのだろうか。
押しているベビーカーには1匹の金魚が泳ぐ袋。

仲良く話しているのは、夫婦かカップルか。女性は髪を綺麗にまとめて浴衣を着ている。男性は洋服だったり甚平だったり。女性の手には携帯扇風機。手を繋いでお互いに寄り添いながら雑踏の中を歩いていく。

中高生の女子数人グループが周りを見渡しながら相談をしている。きっと、限られた小遣いの中で、皆で何を買うか、話し合っているのだろう。
男子数人のグループは駐輪場の方向から歩いてきた。似たようなジャージ姿に大きなリュックやバッグを持っている。部活動終わりに寄ってみたようだ。夕飯前にここで腹ごしらえをするつもりなのかもしれない。

広場ではステージが用意され、様々なイベントが行われていて。
ステージの前方でレジャーシートを敷いて、ステージの余興を観ながら、ビール片手に、屋台で買ったであろう焼きそばやいか焼きをつまむ夫婦。


最後には花火が上がったり上がらなかったり。
私は、花火が好きだが、花火を見る姿や花火が上がるときの雰囲気が好きだったりもする。

会場にいる全員が空を見上げ、瞳を輝かせる。
一際大きな花火が上がると、皆一様に歓声を上げる。
間が空くと、少し周りがざわめく。
再び花火が上がり始め、花火の上がる音だけが響く。
クライマックスのように上がる花火に会場も静かに高まってゆく。
最後に今日一番の大きさの花火が上がる。
一瞬の静寂。
少しずつ大きく、広がっていく話し声と拍手。

お祭り終了後、会場出口へと吸い込まれるように人々が進む。
流れに沿って、いつの間にか、外へ。
お祭り終わりの現実世界へ引き戻されるような感覚と、心地よい倦怠感と共に、家へ帰る。
こういう日は少し歩いて帰るのもいい。

帰宅すると、ぬるい空気が私を迎える。
部屋のエアコンが効くまでの間に、汗や煙でべとべとになった身体を洗う。
風呂上がりには、涼しい風が私を待ち構えている。

涼んでいると疲労感で瞼が重く閉じていく。

気づいたら、何の変哲もない翌日の朝だった。


なんて、全て私の妄想。
子どもの頃行った夏祭りで見たものもあるかもしれない。ないかもしれない。
もう何年も祭り会場に行っていない。
今年は行けるといいな。

7/28/2024, 3:39:55 PM