狼星

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テーマ:美しい #65

真っ暗な夜の中、ビルの最上階にいる真とシャドウ。
彼らはなにか企んでいるようだがーー

『にしても、真。さっき何を数えていたんだ?』
「あぁ、灯りの数だよ。あ、また増えた」
僕はまた視線を下へ向けると言った。
『よくわかるな…真。ま、当たり前か』
「あぁ、僕はただの人間じゃないからねぇ…。何なら人外に近いかも」
『違えねぇな』
ケケケッと笑うシャドウ。
「こんな街じゃ、僕たちが住みにくいもんね」
『…まぁ、確かにな』
僕ははぁ…とため息をつく。
「決行するのは少し先になりそうだが、新月が近い。早めに動いておいてよかったよ」
僕は屋上のフェンスによじ登る。
『おいおい…。あんまり目立った下り方をしないでくれよ?』
「別にシャドウには関係ないだろ? 人間たちにシャドウの姿は見えないんだから」
『俺はお前の心配をしていたんだが…。無駄だったか』
「心配? シャドウが?」
僕が鼻で笑うとシャドウがムスッとした。
『もう心配なんてしてやるもんか』
その言葉、何回聞いただろうか。シャドウは少し心配しすぎだ。こんなこと見ているやつなんていないって。
みんな『すまーとふぉん』とかいう四角い機械に夢中なんだから。逆に空を見上げているやつのほうが珍しいさ。
僕はフェンスの頂上につくと座る。シャドウはぁ…というため息が聞こえた。
「やっぱりここは街を一望できるよ。シャドウ」
僕がそう言うとシャドウは呆れたように適当に返事をした。
『おーい…。そろそろ帰らないと怒られるぞ』
「わかってるって」
そう言ってフェンスから降りようとしたその時、ゾクッと寒気がした。同時に何か視線を感じる。
『おい。どうした』
シャドウは僕に声をかける。
なんだ? 人間か? 人外か?
僕は目をあちこちに向けるが、こちらを向いているものなど居なかった。
気のせいなのか? 僕はそう思いながらフェンスを降りる。なんだろう嫌な予感がする。

『おい、大丈夫か』
シャドウはそう言って、降りてきた僕に話す。
「大丈夫、なんでもない。何かの思い違いだったみたいだ」
僕がそう返事をするとシャドウは首を傾げたが、すぐに違う話をし始めた。
何だったんだ? さっきの視線と悪寒は。
僕はそう思いながらもシャドウの話に耳を傾ける。

『新月か…。人外たちがよく動けるな』
そう。新月は人外たちがよく動く。だから僕はその日を選んだ。僕たち人外が活発に動ける世界にするために。
「新月ほど美しい夜はないよ」
僕がそう言うとシャドウも同意して頷く。
新月は僕の能力も開放される。それも狙って、だ。
『明日は普通に人間として『がっこう』ってどこに行くんだろ?』
僕は一応『高校2年生』だ。僕は人外と人間のハーフ。
シャドウと違って人間にも僕の姿が見える。
「シャドウが羨ましいよ。学校に行かなくていいんだから」
『まぁ、お前について行っているが、な。学校はつまらなそうだ』
「人間は勉強が本当に好きだなぁ…」
『お前も人間だろうが』
シャドウにツッコまれる。
まぁ、そんな退屈な学校ももうすぐで終わりなんだけどさ。

♡800ありがとうございます(_ _)

1/16/2023, 1:28:15 PM