とある1日。
「………………」
「………………」
何気ないふりをする2人。
会話すら出てこない。
なんだかぎこちないなあ、と焦るが、気づく。
20年間と少し。
いつも通りだった。
「これからこの2人はどちらを選ぶのだろうか。いつも通りだと安心するのか、それとも、これではいけないと改めて焦るのか」
キューピットは興味深そうに2人を見ていた。
「選択肢によっては、特別に、この矢を君たちに使ってもいいんだけどな」
春の風は、彼の長くて、しなやかな髪をなびかせ、桃色の花びらをつけて行った。
キューピットは、ふふふっと笑った。
「何気ないふり」
3/31/2024, 2:43:27 AM