金木犀

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 君と見た虹

 ——虹の根元には宝が埋まっている。
 ふと耳にした迷信に、私たちは早速ホームセンターでスコップと軍手を買って、急いで虹の根元を目指した。到着した頃には虹はほとんど消え掛かっていたが、ここまで来たんだから、と掘り進めた。結局出てきたのは単三電池と錆びた十円玉だけで、宝はどこにも埋まっていなかった。
 それから私は早々に宝探しを諦めたが、五十年経った今でも君は宝探しを続けているらしい。
 今日も空には虹がかかっている。
 虹の根元には君がいるのかもしれない。
 そう思うと、宝物のような思い出が蘇るようで——。

2/22/2025, 4:19:09 PM