NoName,

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終わりにしよう。
終わりにしなければ。
た、頼むから終わりにさせて。
もう入らないって!
わんこそば100杯は無理だよ。挑んだ僕が悪かったよ。

お椀の中の一口大のそばをきれいに食べてお椀のフタをかぶせたら終わりのはずが。
「はい、ど~んどん」
給仕のお姉さんがリズムよく僕のお椀に次のそばを放り込む。
最初は良かった。70杯を超えたくらいだろうか。
もうお腹いっぱい、苦しい。
「はい、じゃ~んじゃん」カパッ。
やったフタができた!
と思ったら、給仕さんが、「短いのも、1本でも残ってませんか?」ときいてきた。
え?短いのも?そう言われると不安になって、今閉めたフタをそっと開けて中を見ようとしたその時、
「はい、ど~んどん」
給仕さんがすかさず、そばの入った椀をぼくの椀にねじ入れた。
くーっ!
ここからが本当の長い戦いの始まりだった。
絶対に負けられない勝負だ。
今度こそ終わりにしてみせる。そう思いつつもフタをする隙を見つけられないまま、空いたお椀の数が増えていく。
満腹すぎて頭が働かなくなってきた。何杯だ?もうわからん。でも。

「はいじゃ~んじゃん」カパッ。

よし!!フタをしたぞ。今度は完璧だ。もう中は絶対に見ない!
容赦のない給仕さんとの攻防の果て、やっと勝利を手にした。僕はTシャツの下からのぞく満腹ではち切れそうな腹を隠すこともできず、壁にもたれかかった。

「わんこそば102杯達成おめでとうございます。」
僕は、給仕さんに記録の書かれた記念の木札をもらい、吐き気を抑えつつ宿泊先のホテルに帰ったのだった。



お題「終わりにしよう」

7/15/2024, 10:50:24 AM