NoName

Open App

目の前を通りすぎるトラックと、赤からなかなか変わらぬ信号機。それに装飾を加えるように桜の花びらが枚散っていた。去年もそんな日であった。そう思いながら僕は足を進める。久し振りにやってきたこの場所は、昔とほぼ変わることが無いようにすら感じた。そんな場所で、ふと足を止めると、目的の墓が見えた。今まで、何度この場所に来たのだろう。そうやって過去にここへ墓参りをした記憶を思い出す。驚く程全て同じだったように感じる。幻覚だろうか。はたまた私の記憶の捏造か。そうやって違和感を覚えていると、何者からか頭を強打された。私は、過去に同じめにあった気がするんだ。過ぎ去った日にその事があった筈なのだ。そうやって過ぎ去った日を思う。暫くして、私の記憶は途絶えた。 

あぁ、今日は僕が"誤って"トラックのいる道へ付き出して殺してしまった彼女の命日だ。折角だし、墓参りにでもいくか。

10/6/2023, 11:11:13 AM