NoName

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今年も残ること3時間を切った。
彼女の風習で365日の最後の日は、寝ずに過ごす《年越し》をするらしい。
「やっぱり暇だなあ」
ずっと起きていてもやることがないので、君は机に
頬杖をついてぐだーとしながらそういう。
「じゃ、あれ食べる?なんだっけ、そば?」
年越しそばという、名前の通り年越しに食べそばらしい。「年越しそば?いいね!!食べよ!!!」
君はぱあっと顔を明るくさせてそう言った。



ずるずると音を立てて食べる蕎麦は、冬の寒さも相まってとても美味しかった。
辺りは静かで、除夜の鐘が鳴り響いた。『もうそんな時間かあ』と2人で話しながら時間が過ぎていく。


「もう一年が終わっちゃうのかあ…なんだかあっという間だった気がするよ」
君は目を閉じて、懐かしむようにいう。
俺もそう感じた。君が来てからもう一年が幕を閉じようとしているのだ。


「来年も、いっぱいいろんなことがあるといいなあ」
だって、想い出が今まで以上にできるから。

そうはにかむ君がとても愛おしかった。






「良いお年を」



12/31/2023, 3:01:15 PM