NoName,

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心当たりのない呼び出しに不安を持ちつつも、呼び出された場所に行くと、ちょうど1年前に僕にダメ出しをした彼女が待っていた。

「来てくれてありがと。お話があります。」続けて何か言おうとした彼女を遮るように僕は言った。

「待って。僕も話がある。僕も今日君を呼び出すつもりだった。先に君の話を聞いて悪いことだったら、僕が言えなくなるから、先に言わせて。」

「やっぱり君が大好きだ。」
「好きです。」僕の声に重なるように彼女も口を開いた。

「え?今何て?え?好き?」
「伝わった?」彼女は耳まで真っ赤になって僕をまっすぐ見つめる。
「つ、伝わった」僕は驚いていた。
でもすぐに歓喜のファンファーレが頭の中で鳴り響いた。

「あぁ、やっぱり君は僕の勇気の女神だ。あの頃もそして今も、僕に“自分を変える勇気”をくれる可愛くて格好いい女の子。」
「あの頃って、もしかして覚えて…?」
「僕が忘れられる訳がないんだ。初恋だったんだから。」
「嘘…私もあの時の君が初恋…。」


「じゃぁ何で1年前はダメだったの?」僕が聞くと
「私のこと忘れてる君が、入学式でみて好きになったなんて言うから。すごく悲しかったの。もし入学式が初めて会った時だというなら、私がどんな人間かも知らないのに好きだなんて、いいかげんな人になっちゃったのかなって。」

「だから思い出して欲しかった。私のことも自分の子供の頃のことも。でも私は思い出してほしいという私の気持ちをちゃんと君に伝えなかったんだよね。話さなくちゃ伝わらないのに。だから、今度は自分の気持ちをきちんと伝えなくちゃって思った。でも素敵になった君に、今度は私が振られるんじゃないかって不安で一杯だったの。まさか君が覚えていてくれたなんて。嬉しい。」
彼女の目に涙が浮かんだ。

「勇気の女神、僕もちゃんと言うからきいて。君のおかげで僕は変われた。君の思いも今、僕に伝わった。そして僕は君が大好きだ。1年前ダメだった僕をこうしてまた変えてくれた君が、どうしても諦められなかった。僕だけの女の子になってください。」

「はい。」
彼女は、目に涙をためたままにっこりうなずいた。
とてもとても美しい笑顔だった。


お題「1年後」

6/25/2024, 6:08:11 AM