■ミッドナイト■
ひもじい夜だった。
毛皮の奥まで冷気が忍込み、僕は必死に丸まりながら風雪に耐えていた。
今年は暖冬らしい。しかし、真夜中は容赦なく、氷のような風が軒下まで届いている。
家族はどこに行ったのだろう。
遠くを見ると、同じように耐えている一団がいる。しかし、みんなで固まり合い、さほど寒さは感じていないらしい。
羨ましい。
仕方ない。僕とは違う。
諦めて目を閉じるが、寒さの上に腹も減ってくる。真冬は畑の作物は少ない。
そんなときだった。軒下に小さく積まれた物が見えた。 甘い。
神様からの贈り物だろうか。
必死に食べた。その時、カチカチという音がした。目を向けるが、音の正体は小さな箱らしい。カチカチ。
良く分からないが、神様が観ている合図かもしれない。
翌日も続いた。
ガチャッ
あれ?
「猫に餌やってたの?分かる?」
僕はバタつく。
「やっぱり獰猛だな」
「猫と違って野生だしね」
猫は数匹で固まっている。
友奈は監視カメラの電源を切る。Amazonで買ったやつ。電源を落とす時、友奈を映したのか、音が鳴った。
カチカチ
1/28/2024, 1:16:13 AM