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久しぶりに帰省した実家の押し入れで埃を被ることなく綺麗に保管されている見慣れない箱
その箱を手に取りそっと蓋を開けた

中には幼い頃に私が描いた絵や作った工作、両親へあげた肩たたき券など、私の幼い頃の思い出が沢山詰まっていた

恥ずかしくなって、いい加減捨ててほしいとお母さんへ箱を見せて言ったけれど
大切なものだからダメよ、と断られてしまった

こんなものの何が大切なのよと言いたかったけれど、お母さんの手が私の少し膨らみだしたお腹へそっと触れて

「もうすぐ分かるわよ」
そう言って優しく微笑みながらお腹を撫でてくれて、
思わず泣きそうになった


あんな小さかった子がとうとうお母さんになるのね、嬉しいわ
……そんなこと言われたら捨ててなんてもう言えないじゃない


『大切なもの』

4/3/2024, 9:28:18 AM