「三日月」
0時。いつもの廃墟の屋上。
紫煙が、夜の街に溶ける。
特に何かあった訳では無い。
でも、刺激のない日々がつまらないのも事実で。
毎日毎日仕事をして、家に帰って。
恋人もいる。
一般的な、言ってしまえばどこまでも「平凡」な人生。
そんな中で、ふと考えて。
『生きている意味』はあるのか、と。
別に死にたい訳では無い。
でも、生きていても、楽しいことなんてない。
なんて言ってしまえば、怒られてしまうのだろうか。
ブラック企業なんて、今時珍しいものでもないし。
恋人からの愛なんて、所詮薄っぺらなものでしかない。
誰にも求められていない、この事実が心を強く締め付けた。
そんなものだと、割り切ってしまえばよかったのに。
「はは、」
このまま、いっそ、死んでしまおうか。
煙草を足で踏み潰す。
なんだか、どうでも良くなってきてしまった。
錆びたフェンスから身を乗り出す。
体が、ふわりとした感覚に包まれ……
パシッというような音がして、振り向くと誰かが手を掴んでいた。
「まに、あった……」
息を切らして言う彼に、見覚えはない。
「誰、ですか」
そう聞いても、答えてくれる気配はない。
「……」
沈黙が続く。
「……あの、なんで死のうとしたんですか」
「……なんとなく?」
「はぁ?」
「……でも強いて言うなら」
カチ、と煙草に火をつける。
「自分が生きることの必要性を感じなかったから、かな」
そう言うと、突然、肩を掴まれた。
「ぼくが、いくら貴方を見ているかも知らないで……
24時間365日いつでも貴方を助けられるのに。
僕は、あなたがいないと生きていけません」
あまり知らない人に、こんなことを言われるなんて。
ストーカー?少なくともヤバい人であることには変わりないはず……
脳で警鐘がなる。
だが、危険な好奇心が彼から逃げることを許さない。
ありがとうと言うと歪んだ笑みがこちらを向く。
少し生きてみてもいいかな、なんて。
思ってしまうのは既に少し壊れているから?
人の温かさを感じながら、苦い口付けを交わす。
嘲笑が、2人を見つめていた。
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3時間睡眠+久々の文章
グダグダでごめんなさい……許して。
受験が終わったら、また戻ってきます。
では。
宙ノ海月
1/9/2024, 12:03:01 PM