部屋の扉が空いていた。なんの変哲もない部屋。誰かが閉め忘れたのだろう。だがどうしても手招きしているように思えるのだ。もしこんな話をしたら笑われてしまう。そんなわけ無いだろ、と。いいや。私は招かれている。目を伏せながら部屋に近づきドアノブに手をかける。沈黙によって満たされた部屋。だが視界の隅で、何かが踊っている。それを誤魔化すようにドアを閉めた。今度こそ、部屋は沈黙で満たされている。
9/29/2023, 10:22:56 AM