あなたに届けたい
その日は、今年初めての雪が降った。
「はぁ。」
息が色をつけて登っていく。
「これであったまってね。」
マフラーを編んだ。
彼に渡しに行く道でなんでマフラーにしたんだろうと自分の何気ない選択に疑問を持った。
暖かくなってほしとか理由なんてなんでもいいから、
とにかく何か渡したかったのかな。
私の時間と気持ちを彼の一部にして欲しいとか。
「ピンポーン」
「ガチャリンコにこっとこんにちは」
彼がおちゃらけて出てきた。
「これ、クリスマスとあと、」
「誕生日も兼ねちゃってるけど、、」
「誕生日おめでとう。」
「え!嬉しい。ありがとう!」
「なんだろ?開けていい?」
「マフラー!?編んでくれたの?」
「ありがとう!すっごく嬉しい。」
太陽みたいな笑顔で喜んでくれている。
君の笑顔や表情を私が欲しがってたんだ。
来年も再来年も、君に届けたい。
1/30/2024, 1:02:51 PM