柳絮

Open App

手を取り合って


「大丈夫?」
顔を上げると、緊張した顔があった。
「平気」
ばら撒かれた筆記用具を拾う。嘘じゃなかったけど、顔を見られたくなかった。ボールペンが差し出された。
「そっちこそ、関わらないほうがいいんじゃないの」
一瞬怯んだようだけど、手は下ろされなかった。
汚れた筆箱とノートを抱えたまま、途方に暮れる。
「私さ、声大きいんだよね」
「は?」
「だから、何とかなるって」
ボールペンを筆箱の隙間に突っ込んで、貴方は笑った。

7/14/2023, 1:33:23 PM