狼星

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テーマ:この世界は #64

「あ、また一つ増えた」
冷たい風が僕の頬を撫でる。
真っ暗な夜の中、ビルの最上階から街を見下ろす。
『全く、懲りないねぇ…人間は』
僕の隣でそう呟くのは、人外といったほうがいいのだろうか。
まぁ、何にせよ人間ではない。しかし、そこに存在しているナニカだ。
『なぁ、真(まこと)』
ナニカ、ことシャドウが僕の名前を呼ぶ。
『人間はいつになったら眠るんだ?』
僕は何も言わなかった。ただ夜の街の光を睨む。
『おーい、真ぉ…』
シャドウがかまってもらえないからか、うるさい。
「僕に聞かないでもらえる? 僕だってこの光がうざったいんだ。はやく、無くしたいんだからさ」
僕は光を見つめたまま言った。
『じゃあ、早く始めちまえばいいじゃねぇか』
シャドウはそう言ってケケケッと笑う。
             ・・
「わかってるよ。もう少しで条件が揃う」
僕は今度は真上を見る。今日は月が三日月だ。
下弦の月。
それは新月がもうすぐくる合図だ。
そしたら僕たちが開放される。

この世界は僕たちの物へと変わるんだ。


※明日へ続きます。
 これから少しの間、リレー小説になります。
 短編が好きだという方はしばらくお待ち下さい。
                      by狼星

1/15/2023, 12:57:36 PM