/桜
朝早くからビニール袋を片手に家を出る。
閉じられた学校の門をコソコソとよじ登り、昇降口手前まで続く桜並木を目指す。
ヒラヒラと風に吹かれて落ちてくる桜の花びらを、ビニール袋を広げてうまく回収する。たまに地面に落ちてる中からも綺麗な花びらを見つけて拾う。
そうして一時間ほど奮闘していれば、教頭が一番にやって来るので見つからないように裏庭に移動する。
裏庭にも桜の木があるけどあそこはダメだ。毎年毛虫でいっぱいになるから。
友達が登校して来る時間に合わせて、昇降口へ向かう。
ビニール袋をひっくり返すシミュレーションは何回もしてきた。マジギレされる覚悟もばっちり決めてきた。
あとは友達の頭から桜を降らせるだけ。
そんないつかの日の記憶。
4/5/2025, 6:11:30 AM