お金なんて、必要なかった
ただ、そこにいるだけでよかったんだ。
特別なことなんて何もなくても、ちょっとばかしカッコ悪くても。
でも俺は、その「〜だけ」から、逃げた
いや、逃げたどころじゃない。自分から、遠ざけていた。
自分は、逃げるための口実が欲しかったのだ。
心の中でめんどくさいと決めつけて、向き合わないで、最初から最後まで、勝手に突き放したのは自分だった。
初めての記念日も、「仕事が忙しくて」
誕生日の時も、「ごめん、外せない仕事があって」
「仕事」「仕事」「仕事」
ずっとずっとへばりついてくる嫌な目から背けるように、仕事に張り付いていた。
それでもまだ、許して貰えた。
違う、許してもらえていたから、あぐらをかいていただけだ。
お金よりも、一番大事なものがそこにあったのに。
気づくのがあまりにも
「遅すぎたなぁ....ッ」
手放せない後悔が、余りすぎたお金と一緒にその場に残り続けていた。
3/8/2026, 2:35:43 PM