NoName

Open App

学校の帰り道に子猫を見かけて思わず追いかけた。
路地裏や誰かの家の庭を駆け抜けていくのを遠回りしながら必死についていく。

長い坂道を登った先の曲がり角にしっぽが消える。見失っちゃう!思いっきり走った。
息を切らしながら角を曲がる。その瞬間視界が開けて思わず眩しさに目を瞑る。
そこには見渡す限りの深い青が広がっていた。

こんなにきれいなところがあるなんて知らなかった、そう思ってしばらく海に見惚れていたが、はっと子猫のことを思い出す。辺りを見回すと少し離れた茂みの影に親猫らしい猫とさっきの子猫を見つけた。ふと子猫と目が合う。
「こんな素敵な場所を教えてくれてありがとう」
小さくお礼を言ってもうしばらく海を眺めていた。

11/15/2021, 1:23:34 PM