「はい、これ」
「……これって、」
「勿忘草。花言葉はね…」
さっき道端でガサゴソやってたのはこれが理
由か。幼子か?こいつは。いや、今に始まった
ことじゃ…ってそれどころじゃない。
実はこの草花を渡されるのはこれが初めてじ
ゃない。前にも一度渡され、数日しないうちに
ふらっと居なくなった。エグい気分屋のこいつ
は数十年一緒にいる俺のことでも簡単に着拒に
した。
「花言葉はね、『私を忘れないで』」
「…今度はどこ行くんだ。」
呆れ半分、怒り半分のような声が出た。
「別に。どこにも」
「………」
「ただ、なんとなく」
* 勿忘草 No.14
2/2/2024, 2:39:11 PM