042【君からのLINE】2022.09.15
毎朝、8時から9時までのあいだに届く、君からのLINE。ボクはいつも怠惰にふとんの中にこもったまま、既読スルーをする。
内容は、たわいもないんだ。今朝の朝ドラ神回で泣いた、とか。前髪ウルトラ跳ねててアニメの主人公になっとる草、とか。快晴すぎて布団干した、とか。ほんとに、もう、どうでもいいことばっかり。
べつに既読すらつけなくてもいいようなLINEだけど、10時までに既読がつかなかったら、それはボクからのSOSとみなす、って約束だから。朝からゲームに夢中でスマホを開くのを忘却してた日、君はほんとに、ボクのところにとんできた。仕事は早退けして。そして、なんだ、よかった、死んでたらどうしようかって思ってた、心配させんな、ばーか……ってふたりでけたけた笑って、いっしょにゲームして、昼ご飯食べて、晩ご飯までいっしょにいたんだっけ。
それ以来だ。ちゃんと時間までに既読をつけるよう、ボクが朝、がんばるようになったのは。
こんなボクが今日もなんとか死なずに生きてるのは、まちがいなく、毎朝の君からのLINEのおかげだ。君がお釈迦様なら、ボクはカンダタ。君からのLINEという蜘蛛の糸にすがりついている、死にたがりのどうしようもないヤツ。
だけどね。最近は、君からの恩に報いるために、もっとちゃんと生きたいとすら、おもってるんだ……これにはボクが、いちばんおどろいている。
9/15/2022, 2:52:17 PM