前を行く友人の、ゆるやかなハミングが聞こえる。
「それ、なんて曲?」
「吹部の次の課題曲」
パラパラと指を動かされる。
友人の脳内ではその曲が流れてるんだろうなぁ。
まぁ、指づかい僕が見てもさっぱり分からないんだけど。
放課後、
友人が牛乳パック膨らませたり
マウスピースでぶぉぉ~って音出してたり
楽器を持ち上げて、高らかな音を鳴らしてたり
光を反射して、キラキラ輝いていたり
体揺らしてリズム取ったり
して練習してたのは、見てた。
僕の練習場所にも届いてた。
近くで聴くと、こう、びりびり音が震えて、来る。
すごい、って、思った。
感想が小学生並みなんだけど。
友人の横に並んで、真似してふんふんって歌ってみる。
「音外れてるよ笑」
鼻で笑われた。
失笑してはりますわ、この人。
まぁ、僕なりの、メロディなのです。
「音痴」
「絶対音感のやつに言われたくありませーんっ」
渡り廊下でケラケラ笑ってた、在りし日の記憶。
…君のメロディ、君の音色、また聴かせてね。
#君だけのメロディ
6/14/2025, 12:25:30 AM