NoName

Open App

 私の梅雨の思い出は他愛ないもの。
 電車のうかない採光の車窓。山間を通った時の雨に濡れた深緑の美しさは、十数年たった今でも目に焼き付いて離れない。
 いつかの大雨の日。余りの冷え込みに押入れから冬服を引っ張り出してきたことは、失敗談として胸を離れない。
 梅雨。
 体感として初夏と夏の間。
 寒くて、濡れる深い緑の季節。

6/1/2023, 1:13:00 PM