終電に駆け込み乗車した僕。
その電車が、終点まで行くと、
乗車中の人間諸共、
この世界から消える電車だとは気づかずに。
目を覚ますと、暗い暗い森の入口辺りに寝っ転がっていた。
変だな…と思いつつも、体を動かす。
立ち上がって見てみると、
辺りには電車の残骸。
人一人居なさそうだった。
遠くから聞こえる、パトカーのサイレン。
そのサイレンを頼りに、電車の残骸を後にする。
けもの道からまともな道路に出たと思えば、
目の前に拡がっているのは畑ばかりで。
真っ直ぐ目を凝らして見ると、
パトカーらしきものが溝に落ちている気がする。
パトカーまで走って走って…
たどり着いた先には、血生臭い匂いがした。
その勘は当たってしまい、
人が三人ほど、乱雑に殺されている。
人の感は鋭いほど当たる。
周りに人はいない。僕一人らしい。
なんだか、奇妙な世界まで飛んできてしまったようだ。
「ジジジ…ぁ、あー、、」
「あれ?生き残っている人間がいるなぁ。」
「あいつはなぜ生きている?
この世界には、空気など無いのに。」
「あぁ、死んだ体が動いているのか。」
「ようこそ、ゾンビだらけの世界へ。
君はもう、元の世界には戻れない。」
95テーマ【終点】
8/10/2023, 11:44:04 AM