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向かい合わせで座るサラリーマンから視線を感じる。知らない男性だ。堪らず電車を降りると、サラリーマンも同じように電車を降りてきた。

逃げるようにホームを早歩きする。するとサラリーマンも着いてきた。一定の距離を空け、チラチラと私の顔を覗き込み、右隣を並走するサラリーマン。そして、

「あの!すみません!」

と声を掛けられた。恐怖を感じ、振り切る様に更に逃げる。

「あの!!すみません!!……ハァ、……」

サラリーマンは何処かへ消えた。彼が消えても私の右側に不快感は残り続けた。夏の暑さのようなジメっとした不快感に身体が震える。

私はただ電車に乗って「向かい合わせ」だっただけ、なのに。

8/25/2023, 11:11:04 AM