好きな色
自分は小さい頃から
青が好きだった。
空や海は特に好きじゃないけど
青色が好きだった
青色の物を見ると
すぐ親にねだっていた
親はいつも困った顔をしていた。
散々粘って親を根負けさせていた
典型的な、困った子供であった。
部屋が青一色になりつつある頃
ぽつんと異質な色が増えた
自分にとってそれは悪だった。
だけど我慢した。
もう困った子供ではないのだ。
その異質な色は
どんどん部屋を侵食していった
薄くなったり、濃くなったりしながら。
親は安心したような顔をしていた
自分はただそれに従った
そのまま青色は跡形もなく塗り潰された
ある時、ある人に出会った
その人は自分にとって悪であるその色を纏っていた
特に悪だと思っていた、薄いそれだった。
その人が纏うその色は不思議と
とても美しく、素敵なものに思えた。
「僕はこの色が大好きなんだ」
そうその人は笑った。
赤
否、桃色の色を
可憐に纏って笑っていた。
同じ色なのに、自分の色と違って輝いていた
小さな赤色のランドセルを除けて
塞ぎ込んだ箪笥を探る
ずっと隠して仕舞い込んだ 青
きっとこれを纏う時
私は自分になれるのだ。
好きな自分を彩ることができるのだ。
6/21/2022, 4:46:26 PM