鐘の音
戦いは終わった。
ワノ国で続いていた百獣海賊団&ビックマム海賊団対麦わらの一味、ハートの海賊団、キッド海賊団他侍による大戦争は新世代の者たちの勝利で幕を閉じた。
まさかあちら側が勝つとは思っても見なかった。
だが、この戦いはこれでよかったのだ。
こうでもしないとこの糞な世界情勢は変わっていかない。
これでいいの…
「……ホーキンス?」
ボロボロの体にムチを打ち、歩いていると壁によりかかって座っている我が船長を見つけた。
左腕がなく、血まみれになって既に動かなくなっていた。
「あ、あぁ…」
血の気が引いていった。
まさか、なんで、どうして。
誰に?誰にやられたの?
あなたは死なないんじゃないの??
「どうして!あれは嘘だったの?
なんで、何も言ってくれなかったの?
こうなることわかってたんじゃないの?
君なら占いでなんでもお見通しじゃないか……。」
そう大きな声で呼びかけても、冷たくなった彼の方から声は無い。
彼がいなくなった私はこれから誰のために生きていけばいいのか…分からない。
こんな体じゃ……死ぬことさえできない……。
「どうすればいいの……」
そうだ、吸血鬼は確か、杭を心臓に打つと命を落とすと言われている。
やったこともないし、噂程度のことで本当かは分からないけど、希望はこれしかない。
私はホーキンスの持ち物から杭を取り出した。
彼が杭を持っているのは知っていたから。
私は迷わずそれを心臓に向かって深く差し込んだ。
すると今までに味わったことの無い激痛がし、吐血をした。
「あっ、がはっ。」
あまりの痛みに彼の方へ倒れる。
今まで死などとは無縁だと思ってきたが、今目の前に迫っている。そんな感覚がした。
「ごめんなさい、約束守れないや。でも、君がいないと私は生きる意味が無いないんだ。」
最後の力でそれを言った。朦朧とする意識の中でどこからか鐘の音が聞こえた気がした。
8/5/2023, 3:31:33 PM