さて、
今日はここに何を書こうかしら?
今日はいろんなことがあって書きたい事沢山あって
母さん困っちゃうわ。
んーそうだわ、
今日はみんなで、ケーキを作ったことを書きましょう。
すごく楽しかったわよ。
ジョンとゴウとルルはお買い物を手伝ってくれました。
2人を指示するジョンは、さすが長男で頼もしかった。
ゴウとルルは、小さな手で、一生懸命に計算してて、
相談しながら、お買い物をしてる姿はとても凄かった。
母さん実は自分の分早めに終わらせてこっそりつけてたのよ?
あなたたちは、気づいたかしら?
お家に帰ったあとは、
今度はマイケルとフレッドとショーンとジニーで
ケーキを作り始めました。
普段は、喧嘩ばかりしてるマイケルとフレッドが協力して
作ってるのを見て、母さんすごく嬉しかった。
ショーンとジニーが果物を切ってくれたわね。
とても上手に切れてて、いっぱい褒めちゃった。
ケーキ焼いてる間に、ロナルドが皿洗いを手伝ってくれた。
初めてなのに、綺麗に洗えてて、母さんはびっくりした。
ジルとココは、味見担当で、満面の笑顔で味見してる顔が
とても可愛くて、ついもう一切れ上げて、
父さんに怒られちゃった。えへへ
完成したケーキはとても美味しくて、
母さん、みんなの事がとても誇らしかった。
是非、みんなと、
「『また作りたいなぁ』っかぁ…」
俺は死んだ母の日記帳の最後のページを読みながら、
その懐かしい字をなぞり
必死に溢れてくる涙を堪えていた。
俺はマイケル、今年で17歳になるこの家の次男坊
(まぁヤンチャすぎて、家のモンスター次男って言われる)
今日は大掃除の日で、
なんとなく書斎の部屋を掃除してると
死んだ母の日記帳が見つかった。
母は、俺が9歳のときに事故で死んだ。
開いてみると
この日記は、全部のページが埋まっていて
とくに最後のページには、
母のお誕生日のケーキ作りの様子が詳細に書かれていた。
読んでいくうちに、涙で溢れ、俺の視界が曇った。
だって、この日記は
この日記は、書いた本人である母の事は
あまり書かれてなくて
俺たち子供のことが沢山書いてあったのだ。
『今日は、双子のフレッドとショーンが珍しく喧嘩しました。
早く仲直りしてほしいなぁ』
『今日は、四ツ子のルルとロナルドとゴウとジニーが
おままごとしてて、母さん参加しちゃった』
『ジョンとマイケルは、日々大きくなっていくね、
母さん嬉しなぁ、』
『ジルが掛け算出来た!!まだ四つなのにすごい!!』
『ココが今日お花をくれた。押し花にして取っとこう』
そう言った、俺たち子供の日々の事が細かく書かれていて、
そのことに、俺は泣いた、駆けつけた他の兄弟姉妹も泣いた。
日記は全て語り口調になっていて
おそらく母さんは、俺たちに見せる気だったんだと思う
大きくなった今の俺たちに、
忘れかけた小さい頃の事を教えるために、
ただそれだけの為に書いていたんだと、思う。
年老いた自分と大きくなった自分の子供たちと
懐かしげに、小さな頃のことを思い出して語り合う。
でも母さんは死んで、それはもう叶わない。
俺は、嗚咽を堪えて、こう言った
『なんで、書い、た本人が不在なんだよ…母さん』
もちろん、答えはない。
でもどこかで、懐かしい声が聞こえた気がした。
8/26/2024, 12:14:54 PM