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ポッケに手を突っ込んだまま、駐輪場に向かう。ポッケの中で、ほつれた糸を意味もなくいじる。

「エクイティファンドってなんだよ。」大学の講義をろくに聞かず、ただひたすらに単位を取ることだけに尽力している僕は心の中で吐き捨てる。内容を理解できないのは、それまでの講義に対する姿勢が原因であると自分でも気がついている。今更真面目にやってもどうしようもないと、焦りと苛立ちが募る。

所狭しと、停められている自転車の中から、なんとか自分の自転車を見つけ引っ張り出す。

学ぶことができるものを、ただひたすらに怠惰という理由だけで吐き捨てる。その愚かさに気づいてさえ、なお改善しようとしない。そんな自分に嫌悪感すらも感じながらもハンドルを握る。

自分で自分を嫌いになる感覚に飲み込まれまいと、ペダルをつよく踏み込むも、風の冷たさに思わず目を細める。どうやら秋はもう終わったようだ。


手袋がほしい。

12/27/2024, 4:20:01 PM