しゃいねき

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長い長い画廊を歩き続けている。
右手でしかと掴んだ小さなランタンが、飾られた僕の記憶と、進む道を淡く照らしている。

歩いてきた道を振り返って、僕はこんなにも長く生きてきただろうか、と不思議に思う。
されどもこの記憶は全て、確かに自分のものであった。

遠く離れていた記憶さえ、ランタンに照らされるたびにもう一度僕のものになる。


昔、母上に童話を聞かせてもらったことを思い出した。
貧しい少女がマッチを擦って、幻を見る話。

今の僕は彼女に似ている。

僕らの人生はままならないのだから、童話の中でくらい幸せになってほしいと、そう思う。
それでも悲劇を好むのは人間の性なのだろう。
全ての人はカタルシスを望むのだ。

僕も、壁に掛けられ豪華な装飾が施された、糾わる禍福を見つめる。

母上。僕の大切な人。
僕の頭を撫でる手はいつも優しく、温かかった。
母上は服を繕い、僕はバルコニーで歌う。

母上、僕は貴女の望む良い息子でいられましたか。

先生。僕の師匠。
僕の本質を見抜く目はいつも穏やかで、時折鋭かった。
師匠が歌い、僕はそれを注意深くなぞる。

先生、僕の最後の演技は最高の俳優に相応しいものでしたか。

No.36…ブルース。僕の友人。

氷を溶かし燃える心が僕を檻から救い出してくれた。
君は歌を教え、僕は演技を教える。

ブルース、僕は君の友人と名乗るに足る人間であれただろうか。

リーゼロッテ。僕の愛した人。

魂を包み込む歌声はいつも僕の心を繋ぎ、1番大切なものを思い出させてくれた。
君が歌い、僕も歌う。

リーゼロッテ、僕はまだ君の隣にいてもいいだろうか。



ランタンの光は輝きを増して微かに揺れる。

僕の行く末を照らしてくれたのはいつだって、檻の中で見た薄気味悪い青色なんかよりもずっとずっと美しく、暖かい金色の光だ。

×××××の再演でも、悲劇の繰り返しでもない。

新しい僕の、新しいオペラ。
今度はきっと誰もが笑う喜劇にしてみせよう。

記憶のランタンが、トゥルーエンドに導いてくれる。


"記憶のランタン"

11/18/2025, 12:45:35 PM